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2023年 社長年頭挨拶

2023年01月06日

2023年1月6日

 皆さん、ご安全に。新年あけましておめでとうございます。
それぞれに、健やかに新しい年を迎えられたことと存じます。年頭にあたり、当社の取組みについて私の考えを述べ、2050年に創業100周年を迎えるための土台づくりを始める一年とすることを皆さんとともに決意したいと思います。 

 昨年も、世界的に自動車業界はコロナ禍の影響を大きく受けました。3月末から2ヶ月に及んだ中国でのロックダウンによる生産停止、その後も半導体を中心とした部品の調達難に振り回された一年となりました。当社のメイン需要家であるホンダ殿も例外ではなく、今年度の四輪国内完成車生産は当初計画の▼20%(668千台―α)と3年連続で700千台割れとなる厳しい状況にあります。
 一方で、コロナ禍によるこうした現状は、少子高齢化等の社会的課題によって、いずれは我が国が迎えるであろう姿が前倒しで現実のものになったとも言えます。当社としては、こうした現実を直視し、「国内事業において外部環境に左右されない強固な収益体質」を築いていかなければなりません。
  そのためにも、事業所毎に自分たちの「ありたい姿」を議論し、具体的なイメージを共有してもらいたいと思います。特に若手の皆さんの積極的な参画を期待します。例えば、人員を増やしたいと考えた場合、どの部署にどういう目的で何人必要なのかを明確する必要があります。それによって発生する費用の増加を補う粗付加額を稼ぐために拡販や価格改善をしなければなりません。マーケット動向や需要家ニーズを調査し、拡販をするのに必要な設備投資も考えなければなりません。そもそも当社への入社を希望する人を増やすために、職場環境を整備することも必要でしょう。このように、一つのテーマを取り上げただけでも多くの思索を巡らすことになります。
  こうした議論を世代や職域を越えて行うことで、日頃接点が無かった人との繋がりをもつことやお互いの人となりを再発見する良い機会にもなると思います。我々の仕事は、一人で完結することはできません。まさにチームワークによって、一人ひとりの力を何倍にも拡大することができるのです。そのためにも、日頃から周囲の仲間に興味を持ち、仕事のうえでの次工程はお客様との意識を徹底し、カバーリングし合える組織づくりを図ってください。
  議論をすることの効能の一つは、自らの頭で考え意見を言う習慣が身につくことです。私の感じるところでは、当社は意見を言う人が少ない気がします。意見を言っても何も変わらない、余計なことに巻き込まれたくないといった声もあるようですが、活発に意見交換がなされる組織こそが健全であると私は考えます。是非、一歩踏み出してみてください。
  当社にはホンダ殿向けの仕事というベースカーゴがあり、それを100%しっかりとこなすことは言うまでもありませんが、それだけでは「外部環境の変化に左右されない強固な収益体質」を築くことは難しいと、このコロナ禍で明らかになりました。非ホンダ圏での拡販がこれまでにも増して重要になります。既に各事業所近隣での拡販に注力してもらっているとおり、需要家への納入距離の短縮による運賃メリットに加えて、CO2排出量の削減効果が強くPRできます。とりわけ、ホンダ圏でお付き合いのある部品メーカーは事業所の近隣に位置しており、気心も知れた間柄であることから連携強化の最適なパートナーです。部品メーカー各社も非ホンダ圏での仕事量拡大に注力しているところです。あわせて、商社との連携も重要です。こちらについても着々と実績が積み上がってきているように、系列や出資関係のあるコイルセンターを有しない商社との連携が有効です。更には、コイルセンター他社との連携も重要です。お互いの拠点を活用し合うことで、需要家への納入距離が短縮できる場合には積極的に連携を働きかけてください。BCP対応や設備投資といった点からも、同業他社との連携は今後必ず必要になってきます。
  スチールケースの拡販も収益基盤強化に大変有効です。ホンダ殿向けのベースカーゴとは別に、21年度には世界的な物流混乱によって滞留したリターナブルケースの代替需要が大量に発生しました。それを機に新たに取引が始まった需要家に対して、ワンウェイケースはリターナブルケースと比較してカーボンニュートラルに資する商品であることを積極的にPRしています。空の状態で持ち帰ることがない分CO2の排出量は削減でき、送り先の地域で有用な資源であるスクラップとしてリサイクルされるのです。すぐに結果が出なくとも、粘り強くコンタクトを続けることが肝要で、必ず相手がメリットを感じるタイミングが来るはずです。
  需要家に対して、環境変化に伴う取引条件の改善を求めていくことも重要です。エネルギー価格や人件費の高騰による運賃の見直し、素材価格の大幅値上げによる歩留損評価の見直し、そして電気代や諸資材の高騰といった自助努力だけでは対応できない項目について、粘り強く交渉を続け、価格の改善をしていかなければなりません。こうした環境変化による影響は、全ての企業にあてはまる課題であり、需要家からも一定の理解が示されています。

  以上、述べてきたことは、当社が取り組んでいる、企業基盤を支える「5つの計画」と密接に関係しています。
1.すべてに優先する安全計画 ~事故災害ゼロ
2.変革期に追従する事業基盤の形成 ~加工設備補強・老朽更新と拡販施策実行
3.職場環境の再整備 ~リフレッシュ計画
4.世界環境ニーズへの貢献 ~カーボンニュートラル計画
5.新しい働き方への追随 ~働き方改革・待遇改善計画 

  皆さんで議論し、イメージした「ありたい姿」と現状とを比較した差が対処すべき課題であり、それは誰かから指示されたものではなく、皆さんが自発的に導き出したものなのです。「ありたい姿」に向かって実行計画を策定し、全社一丸となって、一つひとつ着実にやり遂げていきましょう。

   最後になりますが、皆さんご自身ならびにご家族の今年一年のご多幸を心よりお祈りいたします。  ご安全に。
代表取締役社長 羽鳥 歩